シニア、障がい者、生活保護受給者も積極採用
宿泊施設をはじめ、多彩な事業を展開
ビルの清掃や警備、長期滞在型宿泊施設の運営、人材派遣、市役所の電話受付、LEDやミネラルウォーターの販売など多彩な事業を手掛ける東陵総業。元警察官の創業者が築いた信頼性を基盤に、釜石と北上での地域に根を張った事業展開が特長的です。また、障がい者や生活保護を受けている人を積極的に雇用し、その生活を支えることを通じても地域に貢献しています。
主力はビルメンテナンス業と
宿泊施設の運営
様々な事業を手掛けている東陵総業ですが、「主力はビルメンテナンス業と宿泊施設の運営」と専務取締役の阿部忠志さんは話します。前者においては、釜石市が運営するビルや教育センターなどの公的施設、銀行や保険会社などのビルの清掃を受託しています。後者では、グループ会社の東部商事も含め、釜石市の大渡および平田で「パンション」という独自の名前をつけた長期滞在型宿泊施設の運営を手掛けています。
そのほか、施設警備では市営ビルや釜石のぞみ病院、青少年の家などの警備を受託。交通誘導警備業の認定も受け、工事現場などの警備を手掛けています。また、市役所からは電話交換業務を受託し、市役所の業務効率化に貢献しています。
創業者は元・警察官
市役所などの顧客から信頼を集める
東陵総業は、1981年3月、釜石市で創業されました。その経緯を、阿部さんは次のように話します。
「警察官だった父親は52歳で早期退職し、当時釜石に1社しかなかったビル管理業を始めることにしました。新たに市営のビルが建ち、もう1社と切磋琢磨しながら手掛けていこうという考えがあったようです。元警察官だけに真面目に取り組んだようで、市役所などのお客様から信頼を集めていきました」
そうして、市役所の電話交換業務も依頼されるようになったり、警備業で関わり始めた建設会社のニーズを受けて長期滞在型の宿泊施設を始めたりと、徐々に事業の幅を広げてきたのです。
東日本大震災では、宿泊施設の2階部分までが津波に水没するなどの被害を受けましたが、復興工事による需要のために4~5か月後には再開させています。また、震災後に急増した市役所への電話対応にも要員を倍以上に増強して対応。釜石の復興を支えています。
生活保護を受けている人も
積極的に採用し、市の財政に貢献
さらに同社は、障がい者や生活保護を受けている人、高齢者を積極的に採用しています。
「父親は創業当初から『健常者は障がい者を常に助けていかなければダメだ』と言っていました。ですから、職安からもよく紹介を受け、可能な限り雇い入れてきたのです。これまで20人ほどを雇ったと思います。64歳まで働いた知的障がい者の社員は、県知事表彰を受けるほど活躍しました。また生活保護受給者の雇用は、これまで市に大変お世話になってきたお返しの気持ちがあります。生活保護は税金で負担していますので、当社が雇用することでその分の負担が減れば、それだけ市の財政にも役立つと考えたからです」
ミネラルウォーターの代理店になったのも、シニアの雇用を考えてのこと。「60歳の定年後も、車の運転ぐらいなら続けられるだろうと考えて始めることにしました」
これからも続く復興工事はじめ、国体やラグビーのワールドカップ開催など街の整備が進む釜石。同社に寄せられる仕事の要請は増える一方です。
「常に人手不足状態です。ご家族が入院して、常時は難しいけれどもお金は必要といった方など、お困りの方はぜひご相談ください。柔軟な勤務体系にも応じます」と阿部さんは呼びかけます。
休日が主のパステルアート講師業の傍ら
「きれいにするのが好き」と清掃のパートに
同社でそんな柔軟な働き方をしているのが、パートの小池泰子さん。小池さんは、震災後「人々を元気にしたい」と、癒し効果もあるパステルアートを始め、指導者の資格を取りました。
「パステルは粉を固めた絵の具で、どなたでも簡単に使えて、すぐにほんわかとした絵を描けるようになるんです。とても楽しいんですよ」と小池さん。自宅のほか、釜石のイオンや大船渡などにも出張し、パステルアート教室を開催しています。生徒は働いている人が多いので、教室は週末が主。そこで、平日の3日間だけほかの仕事をしようと探したところ、東陵総業の募集が目に止まったと話します。
「宿泊施設の清掃という仕事でしたが、きれいにすることが好きでしたので応募しました。お客様がどうすれば気持ちよく過ごせるか、考えながら作業することにやりがいを感じています」
とはいえ、つい自己流でやってしまうことも。
「そんな時、阿部専務や上司は『目につかない場所もしっかり掃除することが大事』と教えてくれます。勉強になりますね」と小池さん。小池さんがパステルアートの講師をしていることを、阿部さんや同僚はみな応援してくれているのだそう。
「いい会社で働かせてもらえて、感謝しています」と小池さんは笑顔で結びました。
求人情報
募集情報 |
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企業情報
社名 | 東陵総業株式会社 |
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住所 | 釜石市大渡町1-5-8 |
電話番号 | 0193-22-5525 |
事業内容 | ビルメンテナンス、施設警備・交通誘導、旅館業、電話交換・受付業務、LEDおよびミネラルウォーターの販売 |
従業員数 | 130名 |
ホームページ | http://toubu-iwate.main.jp |
プロフィール
東陵総業株式会社
専務取締役
阿部忠志さん
1955年、大船渡市生まれ。28歳の時に釜石に移り、父親が創業した東陵総業で営業などを手掛ける。2001年、専務取締役に就任。関連会社の東部商事の代表取締役も兼ねる。「釜石の人の情の温かさに支えられてきた」と話す。
東陵総業株式会社
小池泰子さん
1972年、釜石市生まれ。東日本大震災後、パステルアートを学び、日本パステルホープアート協会(JPHAA)公認インストラクターとして釜石や大船渡などでパステルアート教室を開催する傍ら、東陵総業で働く。